薬学部のある大学はどこ?

コラム

お子さんが薬剤師になることを検討している場合や、将来的には自分で開業を考えている場合、どの地域に薬学部があるかどうかは大きな関心事の一つかと思います。

最近、薬学部に関するニュースで「定員割れ」や「淘汰の時代の幕開け」といった言葉を目にすることが増えてきました。都市部では薬学部の定員が増加している一方、地方では学生数が思うように集まらないという現状があります。これらの背景を受けて、将来の薬剤師の需給バランスに対する懸念も広がっており、薬学部の教育内容や学生数の動向、さらには薬剤師業界全体の未来についても注目が集まっています。

このような背景を踏まえ、今回は日本全国の薬学部がある大学について、どこに薬学部が設置されているのかを整理し、さらに薬学部の現状や今後の展望についても触れていきたいと思います。

最新情報

2024年、順天堂大学が9つ目の学部となる薬学部薬学科を浦安・日の出キャンパスに開設

2024年、昭和大学・昭和医科大の薬学部2,3年生および4年生の一部は神奈川県川崎市の鷺沼キャンパスの新校舎へ移転

2027年4月、新潟薬科大学が新潟科学大学に名称変更予定

薬学部の数について

薬学部は薬剤師養成課程が従来の4年制から6年制に移行した2006年から新設が相次ぎ、当時66大学67学部だった薬学部の数は、24年度には78大学80学部にまで増えています。

薬剤師の増加に伴い、厚生労働省は「薬学系人材養成の在り方に関する検討会」にて「薬学部の設置及び収容定員増は、抑制することとし、地域の需要に応じて薬剤師の地域偏在を解消するための人材養成を行う場合はその例外とする」という方針を打ち出し、2027年からは原則としては薬学部の新設や定員増を認めない方針です。

ただし、地域偏在解消のための人材養成は例外として認めるとしており、薬剤師が増えてきたといってもまだまだ地方部では薬剤師が不足している地域が多いことがわかります。本サイトも地方における薬剤師の需給ギャップ解消の一助になれば幸いです。

全国の薬学部

日本全国の薬学部がある大学をエリアごとにまとめました。
どのエリアに薬学部が多いのか、少ないエリアはどこなのか、見ていきましょう!

北海道・東北エリア

北海道

青森県

岩手県

宮城県

福島県

関東エリア

東京都

栃木県

群馬県

埼玉県

千葉県

神奈川県

中部エリア

新潟県

富山県

石川県

岐阜県

静岡県

愛知県

近畿エリア

三重県

京都府

滋賀県

和歌山県

大阪府

兵庫県

中国・四国エリア

岡山県

広島県

徳島県

愛媛県

山口県

九州・沖縄エリア

福岡県

長崎県

熊本県

宮崎県

偏在緩和策の「地域枠」

上記で挙げた薬学部のあるエリアを見ると、都市部には薬学部が集中しており、地方では不足していることが顕著に見受けられます。
実際、都市部の薬学部は入学定員を増加させる一方、地方の薬学部では定員割れが相次ぎ、募集停止に追い込まれる大学も出てきています。

このような状況を改善するため、「地域枠」制度を導入する大学が増加しています。
例えば、富山大学では、定員70人のうち10人を地域枠として確保し、富山県出身者を募集しています。この制度では、卒業後、富山県内で9年間勤務することを条件に、奨学金として入学費や6年間分の授業料等、総額約710万円を全額支給しています。
また、東北医科薬科大学では、志願者の出身には問わず全国から、6人を地域枠として受け入れ、卒業後に宮城または秋田県内の指定する医療機関に薬剤師として一定期間勤務することを条件に720万円の学費を免除する制度を取り入れています。

これらの大学のように、地方の薬剤師不足問題解消のために地域枠を取り入れる大学が増えると考えられており、今後も注目されるトピックではないでしょうか。

地方における薬剤師の需要

近年、薬学部が設置されていない地方では、特に薬剤師不足が深刻化しています。
そのような状況を改善すべく、地方で働く薬剤師に対しては、給与面での優遇や、生活面でのサポートが強化されています。
具体的には、同じ職務内容でも都市部より高い給与が支給される場合が多く、地域によっては特別手当や高額な転居費用の補助、住居の提供など、充実した生活支援制度を設けている企業が多くあります。

地方での勤務は、生活費を抑えつつ安定した高収入を得ることができるため、将来的な貯金や資産形成においても有利になります。都市部での生活に比べ、家計が圧迫されることなく、より自由な生活ができることが、地方で働く薬剤師にとって大きな魅力となっています。

薬剤師としてのキャリアを考える際には、需要の高い地方での就職も視野に入れてみてはいかがでしょうか。

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