薬剤師の年収とお金の都道府県ランキング

コラム

日本では一般的に都市部、特に東京都で年収が高く、最低賃金の都道府県差にも現れているように地方ほど給与水準が低い傾向があります。ところが薬剤師はその逆で、都市部ほど高年収が得にくく、地方ほど高年収での転職が実現しやすいということをご存知ですか。

今回は、厚生労働省が統計法に基づき調査した賃金構造基本統計調査を元に、薬剤師の年収都道府県ランキングを作成しました。さらに、家賃や食費などの基礎支出を除いた、薬剤師の経済的豊かさランキングも発表します!

賃金構造基本統計調査は労働者数が少ない都道府県では標本誤差が大きくなるため、薬剤師のデータは直近2年分(2023,2022)を元に加重平均を取りランキングを作成しました。経済的豊かさランキングは、国土交通省が発表した、総務省の全国消費実態調査をもとに算出した基礎支出額(2019)*を参考に作成しました。
*国土交通省 都道府県別の経済的豊かさ(可処分所得と基礎支出)PDF https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001389727.pdf

薬剤師の年収 都道府県ランキング

薬剤師の平均年収が高い都道府県TOP10

薬剤師の年収が高い都道府県はどこでしょうか?早速、ランキングトップ10を見ていきましょう!
参考として、各都道府県の全産業における平均年収順位と平均年収も併せて掲載しました。

全産業では45位の宮崎県が、薬剤師年収では1位に輝きました。薬剤師の平均年収は673万円。全産業平均年収の390万円に、283万円も差をつけています。

広島県、秋田県がそれぞれ2位、3位にランクイン。秋田県には薬学系大学がないものの、医薬分業率は2023年には90%を超える(92.4%, 全保険速報値, 日本薬剤師会)ほど突出しており、薬剤師不足が深刻だと考えられます。

トップ10にランクインした都道府県のうち、宮崎県(1位)、秋田県(3位)、鳥取県(5位)、山形県(8位)、鹿児島県(9位)の5県は、全産業の年収ランキングではワースト10に入る地方エリア。島根県(10位)も、全国平均より大幅に順位を上げています。これらの地域では、薬剤師という職種の年収の高さがより顕著に表れていると言えます。

一方で、全産業3位の大阪府が5位にランクインしているのも興味深いです。関西を回るラウンダー等の高年収人材が、平均年収を引き上げたのでしょうか。関東とはいえ薬剤師採用に苦戦する地域が多い、栃木県と群馬県も高年収を記録しています。

薬剤師の年収×都道府県ランキング 11位~30位

続いて、11位から30位のランキングを見ていきましょう。

薬剤師年収11位の青森県は、2023年の全産業平均年収では最下位の384万円。東北では人口減少が加速しており、青森県では薬剤師に限らず、小売業やサービス業を中心に多くの業種で働き手不足が深刻です。

21位には、全産業1位の東京都が登場。東京都では就業希望の薬剤師が多く、採用が容易なため、地方と比べて高年収になりにくい地域です。全産業の平均年収とあまり変わらず、国家資格である薬剤師資格の有資格者というメリットが収入には反映されずらいジレンマを抱える方もいます。給与を上げるための努力が地方よりも必要とも言えるでしょう。(参考:東京で給与を上げるにはどうすれば良いか

薬剤師の年収×都道府県ランキング 31位~47位

最後に、薬剤師の年収ランキング31位から47位を見ていきましょう。

31位の神奈川県は、全産業の平均年収ランキングでは2位と高順位ですが、薬剤師の平均年収では全国平均以下。全産業の平均年収も下回る結果となりました。

他の地域を見ると、岩手県(43位)や徳島県(47位)のように、全産業ランキングと薬剤師ランキングの両方で下位に位置するエリアもあれば、京都府(37位)や埼玉県(41位)のように、全産業ランキングではトップ10入りしているにもかかわらず、薬剤師ランキングでは振るわないエリアもあります。

薬剤師の年収都道府県マップ

薬剤師の年収を都道府県別に色分けし、日本地図に可視化しました。東北(青森県、秋田県、山形県、宮城県)、北関東(群馬県、栃木県など)、中国(島根県、鳥取県、広島県)、九州(宮崎県、鹿児島県、佐賀県)や、その周辺にもご注目ください。

薬剤師の経済的豊かさ 都道府県ランキング

今まで、統計データによる年収ランキングを見てきました。薬剤師が地方に住むメリットは、賃金だけではなく支出、特に居住費を抑えられるという点にあります。物価や、光熱費など、生活するために最低限必要な「基礎支出」(食費、家賃または持ち家の帰属家賃、光熱水道費)を除いた金額でランキングを作成しました。

薬剤師の経済的豊かさ 都道府県マップ

さきほどの年収地図と比べて際立つのは、東京都・神奈川県・埼玉県の色の薄さ(豊かさを表す数値の低さ)です。これは、薬剤師としての賃金があまり高くないことに加えて、支出に占める居住費の割合が高いことが影響していると考えられます。光熱水道費が高いのは北海道や東北ですが、さきほど年収が高かったエリアは経済的豊かさも大きいということが示されました。

薬剤師の経済的豊かさ 都道府県ランキング

薬剤師の経済的豊かさ、基礎支出を引いた収入のグラフ

都道府県で差のある基礎支出を考慮した、経済的豊かさランキングをグラフにしました。経済的な豊かさに着目すると、トップ10には以下の都道府県がランクインしました!

順位都道府県
1宮崎県
2秋田県
3広島県
4鹿児島県
5佐賀県
6青森県
7鳥取県
8長崎県
9島根県
10宮城県

いかがでしょうか。地方では、都市部と比べて生活費を抑えられるため、特に東京都・神奈川県・埼玉県にお住まいの方は、移住するだけで大幅に経済的に豊かで余裕のある生活を目指せる可能性が高いです。

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