「都会の喧騒から離れて、自然豊かな環境で働きたい」「薬剤師としての経験を、もっと地域に貢献できる場所で活かしたい」 そんな想いを抱く都市圏の薬剤師のあなたへ。本州最北端の県、青森県への移住・転職という選択肢を考えてみませんか?
青森県では今、地域医療を支える薬剤師を積極的に求めています。特に子育て世帯の医療・福祉従事者に向けた手厚い移住支援金制度は、全国的に見ても非常に魅力的です 。
この記事では、青森移住の魅力から、薬剤師の年収や求人事情、暮らしに役立つ助成金や補助金といった具体的な情報まで、あなたの新しい一歩を後押しする情報を詳しくご紹介します。「移住して失敗したくない」という不安を解消し、青森県での充実したキャリアと生活を具体的にイメージしていただけるはずです。
青森県ってどんなところ?その魅力とは
©2023年Unsplash/Seiya Maeda
本州の最北端に位置する青森県は、まさかりの形をした下北半島と津軽半島が特徴的な地形をしています 。東京からは、東北新幹線で新青森駅まで約3時間~3時間半 、飛行機なら青森空港から羽田空港まで約1時間20分と、アクセスも良好です 。
「雪が多くて寒い」というイメージが強いかもしれませんが、その雪がもたらす静けさや、夏は涼しく過ごしやすい気候は、四季の移ろいを肌で感じさせてくれます 。また、三方を海に囲まれ、八甲田山や白神山地などの山々にも恵まれているため、新鮮な海の幸や山の幸が豊富 。りんごも有名ですが、地域に根ざした豊かな食文化が今も大切に受け継がれています 。
夏には「青森ねぶた祭」をはじめとする情熱的な祭りが県内各所で開催され 、冬にはスキーやスノーボードなどのウィンタースポーツが楽しめるなど、年間を通して多彩なアクティビティが暮らしを彩ります 。
青森県は、大きく3つのエリアに分けられ、それぞれに異なる文化と魅力があります。以下は主要エリアとその特徴です。
津軽エリア(青森市、弘前市など)
世界遺産「白神山地」の雄大な自然と、「青森ねぶた祭」に代表される情熱的な文化が共存するエリアです 。県庁所在地の青森市や、城下町の風情が残る弘前市など、都市機能と自然が調和しています。子育て支援に力を入れる自治体もあり、安心して暮らせる環境が整っています 。
白神山地
南部エリア(八戸市、十和田市など)
数百円で源泉かけ流しを楽しめる温泉が「銭湯」として暮らしに溶け込んでいるのが大きな魅力です 。夏の冷涼な風「やませ」が及ぼす冷害の歴史から「助け合い」の精神が根付いており、人情味あふれる地域柄です 。冬の雪が比較的少なく暮らしやすいのもポイント。中心都市である八戸市は、新鮮な魚介類が楽しめる港町です。
下北エリア(むつ市など)
本州最北端に位置し、日本三大霊場の「恐山」や、奇岩が連なる「仏ヶ浦」など、神秘的で雄大な景観が広がるエリアです 。厳しい自然環境が育んだ、素朴で味わい深い郷土料理も魅力の一つ。大自然の力強さを感じながら、地に根ざした暮らしを求める方におすすめです 。
食の宝庫!青森の有名な食べ物3選
青森移住の楽しみの一つが、豊かな食文化です。ここでは、ぜひ味わっていただきたい代表的なグルメを3つご紹介します。
りんご
青森といえば、誰もが思い浮かべるのが「りんご」 。全国の生産量の約6割を占める「日本一のりんご王国」です 。明治時代に数本の苗木から始まった歴史を持ち、今では「ふじ」をはじめ「王林」「ジョナゴールド」など約50種類ものりんごが栽培されています 。そのまま食べても美味しいのはもちろん、アップルパイなどのスイーツも絶品です 。
せんべい汁
鶏肉や魚、野菜の旨みが溶け込んだ醤油ベースの出汁に、煮込んでも溶けにくい汁物専用の「南部せんべい」を割り入れて煮込んだ、心温まる郷土料理です 。出汁を吸ったせんべいは、もちもちとした独特の食感に変化し、一度食べたらやみつきになる美味しさです 。

いちご煮
「いちご」という名前ですが、果物は入っていません。ウニとアワビをふんだんに使った贅沢なお吸い物で、青森県八戸市周辺の郷土料理です 。乳白色の汁に浮かぶウニの姿が、朝露に濡れた野いちごのように見えたことから、この風情ある名前が付けられました 。磯の香りと上品な出汁が溶け合った格別な味わいは、お正月などハレの日のご馳走として親しまれています 。
方言特集!青森の方言ってそんなに種類あるの?
移住を考える上で、地域に馴染めるか不安な方もいるでしょう。特に青森県は方言が特徴的ですが、実はエリアによって大きな違いがあることをご存知でしたか?
青森の方言は、大きく「津軽弁」「南部弁」「下北弁」の3つに分かれます 。
- 津軽弁(津軽地方) 全国的に「青森の方言」として知られているのがこの津軽弁です 。標準語に比べて一文が極めて短く、濁音が多いのが特徴で、「まるで外国語のよう」と言われることもあります 。
- 有名な会話例: 「どさ?」「ゆさ!」(標準語訳:どこへ行くの?/お風呂に行くだよ!)
- 南部弁(南部地方) 津軽弁に比べると、柔らかくおっとりとした話し方が特徴です 。清音が多く、比較的穏やかな響きを持っています 。岩手県などでも似た表現が使われるため、県外の人にも親しみやすいかもしれません 。
- 代表的な方言: 「めごい」(標準語訳:かわいい、愛おしい)
- 下北弁(下北地方) 南部弁の一種とされますが、三方を海に囲まれた地理的要因から独自の変化を遂げました 。漁師町が多いため、力強くテンポの良い「浜言葉」の要素が色濃く残っています 。
- 代表的な方言: 「へずねぇ」(標準語訳:大変だ、つらい)
最初は戸惑うかもしれませんが、地域の人々とのコミュニケーションの中で方言を学ぶのも、移住の醍醐味の一つです。
年収と生活コストはどう変わる?
移住を考える上で最も重要なのが、お金の話。青森県での薬剤師の年収と生活コストについて見ていきましょう。
都道府県 | 平均年収(万円) |
全国 | 599 |
青森県 | 576 |
埼玉県 | 547 |
千葉県 | 632 |
東京都 | 609 |
神奈川県 | 572 |
賃金構造基本統計調査 令和6年賃金構造基本統計調査 | ファイル | 統計データを探すによると、青森県で働く薬剤師の平均年収は576.39万円です。これは全国平均の599.32万円と比較すると、やや低い数値に見えるかもしれません。
しかし、これはあくまで県全体の平均値です。ここで注目すべきは、薬剤師が不足している郡部や地方の市町村では、全国平均を大きく上回る好待遇の求人が多数存在するという事実です。実際に、年収620万円以上を提示する求人も珍しくありません。
都市部での経験を活かして、キャリアアップと共に年収アップができる可能性もあります。これは、Iターン・Uターンを考える薬剤師にとって大きな魅力と言えるでしょう。
また生活コストについては、大きく影響してくるのが家賃になります。青森県の1LDK賃貸アパートの家賃相場を調べる【アパマンショップ】によると、主要都市の1LDKの平均家賃相場は以下の通りです。
- 津軽:5.8万円(青森市)
- 南部:5.6万円(八戸市)
下北地域であれば、さらに家賃は低くなると考えられます。都市部と比較すると、差は歴然で生活コストをかなり抑えることができ、暮らしにゆとりが生まれます。
一方、青森ならではの出費がある点にも注意が必要です。
車社会であるため、公共交通機関が都市部ほど発達しておらず、日常生活には車が必須です。車の購入費や維持費(ガソリン代、保険、税金など)は予算に含んでおきましょう。
また、冬の光熱費を考慮する必要があり、 冬の寒さが厳しい分、暖房を使う期間が長く、光熱費は高くなる傾向があります。高断熱の住宅を選ぶなどの工夫も大切です。
総合的に見ると、青森県でも都市部への移住であれば、年収は下がるものの、生活コストの低さから実質的な手取り額は変わらず、現状と同じ水準の生活が期待できます。
また、比較的地方への移住で年収が同程度か少し上がった場合、生活コストの低さも重なり、生活の質(QOL)は大きく向上する可能性が高いと言えます。
青森県で働きたい薬剤師向けの厳選情報
ここでは、薬剤師として青森県で働く上での具体的な情報や、ぜひ活用したい移住支援制度について解説します。
薬剤師の求人情報と特徴
青森県内の薬剤師求人は、青森市、弘前市、八戸市といった都市部に集中しています 。一方で、むつ市や五所川原市などの地方部では薬剤師不足が深刻な課題となっており、その分、高年収や住宅手当、引っ越し支援といった好待遇の求人が多いのが大きな特徴です 。この薬剤師不足の背景には、県内の薬学部が青森大学薬学部の一つに限られているという事情があります 。だからこそ、県外からのIターン・Uターンで転職してくる薬剤師は、地域にとって非常に価値ある存在となるのです。
短命県だからこそ高まる薬剤師の必要性
2 都道府県別にみた平均余命によると、青森県の平均余命は全国でも最下位であり、大きな課題となっています。その一因として塩分の多い食生活に起因する生活習慣病が挙げられます。青森県民の1日あたりの食塩摂取量は長年全国トップクラスで、食生活での「しょっぱい文化」が根付いています。
このような地域課題に対し、薬剤師は大きな貢献ができます。高血圧などの薬を正しく提供するだけでなく、患者さん一人ひとりに寄り添い、食生活の改善指導を行うことで、地域の健康増進を根本から支えることができるからです。
地域の課題解決に直接貢献し、人々の健康寿命を延ばしていく。これほど薬剤師としての専門性を実感できる、大きなやりがいはありません。
薬剤師必見の制度!青森県医療・福祉職子育て世帯移住支援金
青森県への移住を考える医療・福祉職の資格を持つ子育て世帯や、医療・福祉職の資格取得を目指す子育て世帯の方を対象にした青森県独自の移住支援制度です。支給額は以下の条件によって変化します。
- 基本額: 1世帯あたり100万円
- 子育て加算: 18歳未満の子ども1人につき最大100万円
- ひとり親世帯加算: 100万円
例えば、子ども2人のひとり親世帯の場合、基本額100万円+子育て加算100万円×2+ひとり親世帯加算100万円で400万円が支給される可能性もあります。
薬剤師資格を持つ方であれば、この制度の対象者です。移住の初期費用や、新しい生活の基盤づくりに大いに役立つはずです。
子育て世帯の方はこちらからぜひ詳細をご確認ください。
薬剤師におすすめのエリア
青森市
青森市は、人口約26.5万人が暮らす青森県の県庁所在地。県内最大の都市として行政・経済の拠点を担い、青森駅周辺には商業施設が集積しています。郊外にもスーパーやドラッグストアが充実しており、日々の生活に不便はありません。 その一方で、市街地から車を少し走らせれば、八甲田連峰の山々や穏やかな陸奥湾の景色が広がり、四季折々の美しい自然を身近に感じられます。新鮮な魚介類やリンゴ、ホタテといった食の恵みも豊富で、日々の食卓が豊かになることも大きな魅力です。
五所川原市
五所川原市は、津軽平野のほぼ中央に広がる人口約5万人のまち。白神山地を源流とする岩木川が大地を潤し、農林水産業が盛んな、のどかな風景が広がっています。
一方で、JR五所川原駅を中心に形成された市街地には、大型ショッピングモール「ELM(エルム)」をはじめ商業施設が点在し、日々のお買い物に困ることはありません。出産応援給付金や子ども医療費給付制度といった子育て世帯への支援も充実しています。薬剤師不足地域であるため、県内の都市部地域よりも高い収入が望め、家賃も比較的抑える事が可能です。
県内ではどんな薬局・ドラッグストアが有名?
青森県で働くなかで、地域の主要な薬局チェーンを知っておくと、転職時にも役立ちます。
株式会社丸大サクラヰ薬局
青森県青森市に本社を構える株式会社丸大サクラヰ薬局は、「ハッピードラッグ」や「ハッピー調剤薬局」を経営しており、県内最大の店舗数を誇るチェーン薬局です。ドラッグストア、調剤薬局を含めて県内に100店舗以上を展開しています。2017年からはウエルシアホールディングスの傘下として、活動しています。
株式会社横浜ファーシー
青森県弘前市に本社を置く株式会社横浜ファーシーは、青森県・秋田県・岩手県で「スーパードラッグアサヒ」というドラッグストアを展開しています。全国で35店舗以上展開しており、主軸である青森県では20店舗以上と高齢化率が全国でもトップクラスに高い地域で、地元企業として活躍してきました。
まだある!青森移住で使える支援制度
医療・福祉職向けの支援金以外にも、青森移住をサポートする制度が充実しています。
最大100万円!あおもり移住支援事業
この「あおもり移住支援事業」は、「あおもり創生総合戦略」及び県内市町村の「市町村まち・ひと・しごと創生総合戦略」に基づいています。
主な目的は、県内への移住と定住を促すこと、そして同時に、多くの県内中小企業が直面している人手不足の解消を支援することです。この2つの課題を解決するため、東京圏から青森県へ移住し地域産業の新たな担い手となる方々へ、県と市町村が共同で移住支援金を支給しています。
具体的には、単身での移住に60万円、世帯での移住には100万円が支給され、さらに18歳未満のお子様1人につき最大100万円が加算されます。
詳しい条件や申請はこちらからご確認ください。
東京圏から青森への移住・就業で、最大100万円を支給します!~あおもり移住支援事業~ – 青森県庁ホームページ
あおもり移住倶楽部
あおもり移住倶楽部とは、青森県へのUターンや移住に関心のある県外在住者を応援する無料の会員制度です。会員特典として、移住前後に役立つ割引や特典サービスを受けられます!具体的には、移住の際の来県での宿泊費や引越料金の割引、飲食店のドリンクサービスなど多岐に渡ります。また、青森県やあおもり移住・交流推進協議会から移住関連情報を受け取ることもできます。
詳しい特典内容などの詳細はこちらからご確認ください。
あおもり移住倶楽部|あおもり暮らし|青森県移住・交流ポータルサイト
移住体験事業
移住後のギャップによる失敗を防ぐためにも、ぜひ活用したいのがこの事業です。青森県外在住で移住を検討している方を対象に、移住体験施設に滞在しながら、地域の気候や暮らしを体験できるものです 。対象になるのは、東青地域(青森市、平内市、今別町、外浜町、蓬田村)といったエリアです。築100年以上の古民家を改修した施設や今風のおしゃれな施設などもあり、多くは無料で利用可能です 。
どんな物件があるか気になった方はこちらからご確認ください。
まとめ
青森県への移住・転職は、都市圏で働く薬剤師にとって、キャリアとライフスタイルの両面で多くのメリットをもたらす魅力的な選択肢です。
- QOLの向上: 豊かな自然環境、新鮮で美味しい食、四季折々のアクティビティが、日々の暮らしを充実させます。都市圏に比べて住宅コストを抑えられるため、経済的なゆとりも生まれるでしょう。
- 手厚い移住支援: 特に「青森県医療・福祉職子育て世帯移住支援金」は、子育て世代の薬剤師にとって強力な後押しとなります 。
もちろん、冬の雪や寒さへの対策 、車社会への適応 、地域独特の方言 など、移住前に知っておくべき注意点もあります。しかし、それらを補って余りある魅力が青森県にはあります。
まずは「あおもり移住倶楽部」に登録したり、「移住体験事業」を利用したりして、青森との接点を持ってみてはいかがでしょうか。あなたの薬剤師としての知識と経験を、本州最北端の豊かな大地で活かす新しい未来が、待っているかもしれません。