都市部での暮らしやすさと、地方ならではの豊かな生活環境。その「いいとこ取り」を叶える移住先として、いま薬剤師の間で高い人気を誇るのが滋賀県です。
首都圏にお住まいでライフスタイルの見直しをお考えの方はもちろん、「関西エリア内で、より収支バランスの良い暮らしへシフトしたい」という大阪・京都の薬剤師の方にとっても、滋賀県は非常に現実的で魅力的な選択肢となります。 本記事では、滋賀県がなぜ薬剤師の移住先として選ばれているのか、給与事情や家賃相場、おすすめエリアとともに詳しくご紹介します。
滋賀県といえば「琵琶湖」。滋賀の魅力とは?
滋賀県は、県土の約6分の1を占める日本最大の湖「琵琶湖」を取り囲むように広がる、豊かな自然と歴史に満ちた地域です。
歴史的には、中山道や東海道などの主要街道が交差する交通の要衝として発展し、かつて全国を股にかけた「近江商人」を生み出した土地でもあります。近江商人の哲学である「三方よし(売り手よし・買い手よし・世間よし)」の精神は今も地元に深く根付いており、地域社会や外からの来訪者を温かく受け入れる寛容な風土が育まれています。
滋賀県は大きくエリア分けされ、それぞれ異なる暮らしの魅力があります。

湖南エリア(大津・草津・守山など)
県庁所在地である大津市をはじめ、草津市、守山市、栗東市、野洲市などを指す湖南エリアは、県内で最も人口が多く都市機能が集積している中心地です。JR新快速を使えば京都駅まで約9分、大阪駅へも約50分という圧倒的なアクセスの良さを誇り、都市部の利便性を享受しながら琵琶湖畔の自然を感じられる「都会と田舎の良いとこ取り」ができるのが特徴です。ショッピングモールや医療機関が充実しており、子育て世代にも非常に人気の高いエリアです。
湖東・東近江エリア(彦根・近江八幡・東近江など)
彦根市や近江八幡市、東近江市などを中心とした湖東・東近江エリアは、国宝・彦根城やヴォーリズ建築、城下町の街並みなど歴史と風情が色濃く残る地域です。近江盆地の広大な田園風景と穏やかな琵琶湖の景観が広がり、商業施設や医療機関といった生活インフラの利便性と、静かな住環境のバランスが取れています。歴史や文化に親しみながら、ゆとりある暮らしを求める人にぴったりです。
湖北エリア(長浜・米原)
長浜市と米原市からなる湖北エリアは、雄大な琵琶湖と日本百名山の伊吹山などの山々に囲まれた、自然豊かな地域です。「日本の夕陽百選」に選ばれた湖岸の夕景や、日本遺産にも認定されている竹生島などの神秘的な景観を有し、昔ながらの田舎暮らしやアウトドアライフを本格的に楽しみたい人に人気があります。 滋賀県唯一の東海道新幹線停車駅である米原駅からは、名古屋へ約26分・東京へ約2時間10分とアクセスが良い点も隠れた強みです。なお、両市とも国の「豪雪地帯」に指定されているため、冬場のスタッドレスタイヤ着用や除雪対策は必須となります。
湖西・甲賀エリア(高島・甲賀)
琵琶湖の西側に位置する「高島市」と、南東部の内陸に位置する「甲賀市・湖南市」をあわせた、豊かな森林と水に恵まれた自然派エリアです。高島市はメタセコイア並木や湖上の鳥居(白髭神社)などで知られ、キャンプやマリンスポーツなどのリゾートライフが叶います。一方の甲賀市は信楽焼や忍者の里として有名で、山に囲まれた静かな環境と創作活動に最適な風土が魅力です。都会の喧騒を離れ、趣味や自然を思い切り満喫したい方におすすめの地域です。
有名な食べ物3選
移住後の楽しみといえば、地元の美味しいグルメです。滋賀県を代表する絶品料理を3つご紹介します。
近江牛

約400年の歴史を誇る日本最古のブランド和牛「近江牛」。豊かな自然と良質な水で育まれた肉質は、霜降りの度合いが高く芳醇な香りととろけるような柔らかさが特徴です。ステーキやすき焼き、しゃぶしゃぶなど、移住後の特別な日のご馳走として親しまれています。
鮒ずし

琵琶湖の固有種であるニゴロブナと米を塩漬け・乳酸発酵させた「鮒ずし」は、日本最古の寿司の形態(なれずし)とされる伝統料理です。独特の芳醇な酸味と旨味があり、地酒のアテとして全国のグルメや酒飲みに愛されています。
近江ちゃんぽん

滋賀県のソウルフードである「近江ちゃんぽん」は、長崎ちゃんぽんとは異なり、鰹節や昆布からとった和風出汁がベースのあっさりスープが特徴です。削り節の効いたスープにたっぷりの野菜と豚肉が載り、途中で酢を入れて味変を楽しむのが地元の定番スタイルです。
年収と生活コストはどう変わるか?
関西圏でもトップクラスの安定した高い給与水準
厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査(厚生労働省)」 によると、滋賀県で働く薬剤師の平均年収は約625万円と、全国平均566万円と比べると高い水準となっています。
| 都道府県 | 平均年収 |
| 全国 | 約566万円 |
| 滋賀県 | 約625万円 |
| 埼玉県 | 約573万円 |
| 東京都 | 約538.8万円 |
| 千葉県 | 約615万円 |
| 神奈川県 | 約514万円 |
京都や大阪への通勤圏内である湖南エリアでは質の高い医療展開に伴う求人が多く、一方で湖北・高島などの郊外・過疎地域では薬剤師不足から「年収650万〜700万円」「住宅手当全額支給」といった高額提示の求人が多く見られます。都市部の利便性を手放さずに高収入を維持・狙えるのが大きな強みです。
手元に残るお金が大幅プラスに
生活コストの大部分を占める「家賃」を比較すると、近隣の都市部との差は歴然です。
| 都道府県 | 代表的なエリア | 1LDK/2K/2DKのアパート家賃相場(目安) |
| 東京都 | 23区(中野区) | 13.8万円 |
| 東京都 | 市部(立川市) | 9万円 |
| 埼玉県 | さいたま市(西区) | 8.4万円 |
| 千葉県 | 船橋市 | 9万円 |
| 神奈川県 | 横浜市(西区) | 13万円 |
| 大阪府 | 大阪市北区 | 11.2万円 |
| 大阪府 | 大阪市中央区 | 11.7万円 |
| 京都府 | 京都市中京区 | 9.9万円 |
| 滋賀県 | 草津市 | 7万円 |
| 滋賀県 | 長浜市 | 5.5万円 |
京都や大阪の主要エリアに比べ家賃コストが3〜4割近く抑えられるため、薬剤師としての高い給与水準と相まって、可処分所得が格段に増え、生活に大きなゆとりが生まれます。
薬剤師の求人情報、特徴

滋賀県内には立命館大学薬学部があるものの、若年層人口の増加に伴う調剤薬局・ドラッグストアの新規出店ラッシュにより、常に高い薬剤師ニーズが存在します。
厚生労働省が発表している、薬局・医療施設に従事する人口 10 万人に対する薬剤師数を見ても、滋賀県は248.2人(全国平均:265.8人、京都:269.8人、大阪:320.4人)と全国平均を下回る水準です。
参考:令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況_厚生労働省
特に京都・大阪のベッドタウンとして人口が増加している「草津・守山・大津」エリアでは、大手チェーンドラッグや駅チカ医療モールの求人が豊富です。一方、県北部の「長浜・高島・東近江」などの二次医療圏では地域医療を支えるかかりつけ薬局の需要が高く、高年収提示や住宅支援付きの好条件求人が目立ちます。また、在宅医療や健康サポート薬局への取り組みが非常に活発な点も特徴です。
薬剤師におすすめのエリア3つ
草津市(湖南)

草津は人口約14万人、滋賀県内で最も活気に溢れる人気都市です。JR草津駅から京都駅まで約21分、大阪駅まで約50分という抜群のアクセスを誇り、駅周辺には大型商業施設が充実しています。求人数も県内トップクラスで、職住近接の利便性と子育てしやすさを両立したい薬剤師に最もおすすめのエリアです。
彦根市(湖東)

「ひこにゃん」で有名な彦根市は、国宝・彦根城を中心に発展した歴史ある街です。適度な商業施設と落ち着いた住環境が整っており、京都へも新快速で約45分。地域密着型の調剤薬局求人が多く、ゆったりとした時間を過ごしながら地域医療に貢献したい方に好適です。
長浜市(湖北)

琵琶湖と山々に囲まれた雄大な自然が広がる湖北の中心都市です。薬剤師不足が顕著な地域でもあるため、提示年収が高く、手厚い住宅手当や福利厚生が用意された求人が多く存在します。手元に残るお金を最大限にしつつ、のんびりとした本格的な地方暮らしを叶えたい方に最適です。
県内の有名な薬局・ドラッグストアを紹介
株式会社ユタカファーマシー(ドラッグユタカ)
岐阜県に本社を持ちつつ、滋賀県内に圧倒的な店舗数を誇る地域密着型の大手ドラッグストア・調剤薬局チェーンです。調剤併設型店舗が多く、地域の「健康支援拠点」としてセルフメディケーションから在宅調剤まで幅広く展開しています。
株式会社キリン堂(サンドラッグと資本提携)
関西圏を地盤とし、滋賀県内にも多数の店舗を展開する大手ドラッグストアチェーンです。「未病」の観点を重視した店舗づくりを行っており、地域住民の健康相談に親身に応えるアットホームな職場環境が魅力です。
移住のデメリットは?
では、滋賀移住のデメリットは何でしょうか?滋賀の場合、大阪や京都に近いエリアもあることから、住む場所によってデメリットが大きく変わりそうです。
マイカーが必要なエリアが多い:大津や草津の駅近であれば車なしでも生活できますが、基本的に郊外や湖北・湖東エリアでは車が1世帯に1〜2台必須となります。
湖北エリアの冬の積雪:南部(大津・草津)はほとんど雪が降りませんが、長浜や高島などの湖北地域は冬場にしっかりとした積雪があり、スタッドレスタイヤへの履き替えや雪かきが必要です。
京都・大阪への通勤ラッシュ:JR琵琶湖線は利便性が高い反面、朝の通勤時間帯は混雑します。
滋賀県の移住支援制度
滋賀県では、都市圏からの転職・移住を後押しする移住支援や補助金制度等が多数用意されています。
滋賀県移住就業支援事業
東京23区に在住している方、または、東京圏(条件不利地域を除く)から東京23区に通勤している方が、対象の市町(長浜市、甲賀市、東近江市、米原市、日野町、竜王町、愛荘町、豊郷町、多賀町)に移住し、都道府県のマッチングサイトに掲載された求人に就職した場合、移住支援金が支給されます。
- 単身での移住:60万円
- 世帯での移住:100万円(18歳未満の帯同者がいる場合、子ども1人につき加算あり)
【参考】
移住・定住促進住宅改修等補助金(各市町)
長浜市や高島市、東近江市 などの地方部では、空き家バンクに登録された物件を購入・改修する際、工事費用の最高50万〜100万円程度を補助する手厚い制度が用意されています。
【参考】
子育て世帯向け住宅取得支援(大津市・草津市など)
人口流入が多い湖南エリアの自治体では、市外からの子育て世代の転入や、住宅購入に対して独自の助成金や奨励金を交付する制度を実施しています。
【参考】
移住を検討し始めたら、「しがIJU相談センター」へ!
東京・有楽町の「ふるさと回帰支援センター」内にある「しがIJU相談センター」では、オンラインや対面相談、電話相談で移住の相談ができます。気になる方はぜひ情報収集をしてみてください。
その他にも毎年、西日本最大の移住フェア「いなか暮らし移住フェア」というのが開催されており、関西エリアの情報を比較しながらまとめて情報収集できるイベントとなっています。気になる方はぜひ足を運んでみてください!
まとめ
滋賀県への移住・転職は、「高い生活利便性と高水準な年収」を維持しながら、「豊かな自然と低い家賃コスト」でゆとりある暮らしを叶えることができます。
薬剤師にとって非常に魅力的な選択肢である滋賀。京都や大阪へのアクセスを確保しながら、自分らしい豊かなライフスタイルとキャリアを滋賀県でスタートさせてみませんか?